研究概要 |
臨床的にはpiebaldismにおける表皮移植後に色素拡大現象が見られること、色素拡大部ではそれまで見られなかったメラノサイトが遊走しているのが見られることを報告した。また同時に皮膚移植前には白毛であった病変部の毛が移植後に黒色化し、NKI/beteb陽性メラノサイトが表皮のみならず毛包にも遊走していることを見い出した(文献3)。マウスメラノサイトのH-ras transfectantでは遊走能が亢進しておりbFGF,ET-1などの刺激には反応しないこと、およびTPAに反応して増殖しなくなったことを示した(文献4)。チロシン脱リン酸酵素の一つであるSHP-2が細胞骨格形成や細胞遊走に重要であることをdominant negative mutantを用いて検討、証明した(文献5)。これらのことよりras,SHP-2などの細胞内刺激伝達系を変化させることによりメラノサイトの遊走を制御できる可能性が示唆された。一方、メラノーマ抗原の局在を示し(文献1)、メラノーマ担癌マウスではIL-12とIL-18がメラノーマ拒絶において相乗効果を示すことをIl-12 transfectantおよびIL-18のin vivo投与によって示した(文献6)。IL-12はdendritic cellであるLangerhans cellのaccesory機能を亢進させることを示したが(文献2)、IL-12遺伝子導入メラノーマではCD4+T細胞の枯渇により白斑の発症とメラノーマの拒絶が起こることを示した(第XVII回国際色素細胞学会、名古屋、1999)。即ちメラノーマ関連白斑のモデルとなる系を確立した。
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