研究概要 |
表皮細胞に感染した単純ヘルペスウイルスに対する免疫応答が修飾あるいは抑制されることにより、皮膚における単純ヘルペスウイルス感染症の病変が誘発される、あるいは重症化し、再発性単純庖疹あるいはカポジ水痘様発疹症などの疾患の発症につながると考えられる。今年度はこれらの現象の背景に存在する因子を明らかにする目的で、以下の項目について検討した。 1 ・カポジ水痘様発疹症で受診した患者について臨床的事項を検討したところ、カポジ水痘様発疹症は、アトピー性皮膚炎が重症で血清IgE値の高い症例に発症しやすいことを明らかにした。 2 ・アトピー性皮膚炎の動物モデルと考えられているNCマウスの単純ヘルペスウイルス感染実験によって、湿疹病変を有する部位に接種した場合、皮膚病変が重症化することを見い出した。 3 ・紫外線を照射した培養ヒト表皮細胞ではIL-1,IL-8,TNF-αの産生が単純ヘルペスウイルスの接種後増強していることが判明した。 4 ・同様に表皮内へのヒト乳頭腫ウイルス感染が一つの誘因となっている外陰部ボーエン病では、表皮内ランゲルハンス細胞は腫瘍細胞の増殖活性に相関して増加していることが判明した。
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