研究概要 |
前年度(平成11年度)に引き続き,紫外線による表皮細胞への影響について検討して来た.紫外線照射により表皮細胞がアポトーシスに陥いることはすでに知られた事実であり,アポトーシスに陥った細胞は表皮内にサンバーン細胞として認められる.これは紫外線の中波長(UVB)により誘導されることが証明されているが,長波長紫外線(UVA)による影響についての検討は成されていない.またアポトーシス誘導の一因として表皮細胞由来のnerve growth factor(NGF)のUVBによる産生抑制が推測されている.したがった今回われわれはUVAにより表皮細胞由来のNGFの産生がどのように影響されるかについて検討した. 正常ケラチノサイトを培養し,紫外線(UVA=10〜20kJ/m^2)を照射して,NGFのmRNAレベルと培養液中に放出されたNGF蛋白について検討した.その結果UVA照射24時間後では今回の照射量ではNGFのmRNAレベルの低下は認められず,12時間後にはむしろmRNAレベルの上昇を認めた.しかし培養上清中のNGF蛋白レベルには有意の変動を認めなかった.現在引き続き,感度を高めて検討中である. UVAがUVBによって惹起される免疫抑制に対して拮抗的に作用していることについて,表皮細胞由来のIL-10,IL-12産生に及ぼす影響についての検討から明らかにしてきた.今回の表皮細胞由来NGFに対するUVAの影響もUVBによるものに拮抗的に作用している可能性があり,今後さらにUVA照射量を変動させ,またUVBとの混合照射などにより検討を進めて行く予定である.
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