前年度COS7にたいしてNF1(Neurofibromatosis 1)promoter deletion mutantsをH-Ras(V12)とともにco-transfectionしたところ、すべてのconstructsでほぼ7から9倍の上昇を認めた。すなわちCOS7細胞では、このpromoter領域にはRas-responsible elementが存在しない可能性が高いことがわかった。これは、細胞内でRas-GTPレベルの上昇が十分でないとも考えられた。そこで、Ras-GTPレベルがすでに高いことが予想される細胞か、Ras-GTPレベルがRasのtransfectionにより高く誘導される細胞をもちいて実験をおこなうことにした。今回は、H9c2ラット心筋細胞に対して、心筋内のみでしか活性化しないRas-constructをもちいた。この系を使用することにより細胞内Ras-GTPレベルが高く誘導されることが予想された。まず、この系をもちいて最長のNF1 promoter deletion mutantである約4.3kbのSACconstruct(-4368to+474)にたいしてoptimizationをおこなった。その結果、control vectorにたいして256倍という最高値をとった。さらに、心筋内のみでしか活性化しないRas-constructをco-transfectionしたところ、さらに15.2倍の上昇がみられた。次に、このoptimizationの条件で、すべてのNF1 promoter deletion mutantsをRas-constructとともにco-transfectionしたところ約600bpの6E construct(-143to+474)で45.3倍という最高値をとった。
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