研究課題/領域番号 |
10670810
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
溝口 昌子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (30010250)
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研究分担者 |
西岡 久寿樹 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 教授 (60049070)
河 陽子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (10082273)
高浜 英人 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (90267633)
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キーワード | アトピー性皮膚炎 / T細胞クロナリティー / T細胞レセプター / RT-PCR / SSCP / ダニ抗原 |
研究概要 |
(目的) アトピー性皮膚炎(AD)の皮疹の組織学的特徴はT細胞を主体とする単核球浸潤であり、何らかの抗原に反応して増殖したもので、ADの病態成立に関与していると考えれているが、いまだこの浸潤T細胞が抗原特異的反応を示しているかは充分検討されていない。そこで本研究では、AD病変部のT細胞浸潤が抗原特異的反応であることを証明し治療へ応用することを目的とした。T細胞は抗原提示細胞上に提示されたMHC抗原ペプチド複合体をT細胞レセプター(以下TCR)を介して認識する。これによりT細胞内に増殖シグナルが伝達され、提示された抗原を特異的に認識するTCRを有するT細胞クローンが増殖する。 (方法と結果) 典型的な重症D患者7例と健常人5例から皮膚を採取し、山本らが開発したTCRに注目して病変部あるいは末梢血中のリンパ球集団で集積しているクロノタイプを検出するシステム、reverse trascript polymeraseChain reaction single strand conformation SSCP)を用い検討したところ、TCRのCD3が同一のクロノタイプであるT細胞が、異なる2箇所のAD皮膚病変部にのみ存在した。この結果より、AD病変部のオリゴクローナルな集積が示された。RASTでDp値の高い5例のAD患者より末梢単核球分画(以下PBMC)を粗ダニ抗原(以下Dp)とIL-2で2週間混合培養し、RT/PCR-SSCPを行うとPMBCは特異的クローンが集積していない状態からオリゴクローナルな集積を示してきた。このDp刺激PBMCより誘導されるT細胞クローンは、AD患者皮膚病変部に認めたものとTCRのCDR3が同一のクロノタイプであり、さらにこのTCRのCDR3のシークエンス分析を行ったところ5例中3例でアミノ酸配列が一致することを確認した。(結論)以上の結果は、AD患者皮膚病変部では侵入した抗原と特異的に反応するT細胞の浸潤があり、AD病変の形成に深く関与している可能性を示唆している。また、その病因としてのDpの関与が示された。対応するDpの抗原構造を変換させた蛋白を合成しT細胞機能をブロックすることによりD治療を行うことができるか現在in vitroで検討中である。
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