研究概要 |
間葉系悪性腫瘍、特に類上皮肉腫の抗癌剤耐性はよく知られている。この耐性機構とその克服を検討した。類上皮肉腫の2つのcellline(SFT-8606と我々が樹立したES-OMC-MN)を用いて、vincristine(VCR),adriamycin(ADM),cisplatin(CDDP),etoposide(VP-16),actinomycin D(ACT-D)に対する感受性と、これら抗癌剤にcyclosporinA(CsA)添加による感受性変化を検討した。また110-kDのlung resistance-related protein(LRP)の発現を免疫組織学的に調べ、上記抗癌剤の抗LRP抗体による影響を検討した。その結果、両cell lineともVCR,ADM,CDDP,VP-16に耐性を示したが、ACT-Dのみに感受性を示した(IC_<50><10nM)。CsA添加によりVCR耐性を克服し(IC_<50><10nM)、ACT-Dの感受性も増強した(IC_<50><1nM)。また抗LRP抗体による免疫染色で原腫瘍組織と同様に両cell lineともLRPを発現しており、抗LRP抗体2.5μg/ml添加によりVCR耐性を克服した(IC_<50><20nM)。CsAによりACT-Dの感受性は増強し、VCR耐性を克服した。このVCR耐性機構にはLRPが関与している可能性が示唆された。現在Malignant melanoma,乳房外Paget病などについても同様にcell lineを作製し抗癌剤感受性検査およびLRPを中心として多剤耐性蛋白の同定を行っている。
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