研究概要 |
我々の樹立した類上皮肉腫のcell line ES-OMC-MNと福岡大学病理学教室岩崎宏教授より分与されたSFT-8606では、vincristine(VCR),adriamycin(ADM)に耐性を示したが,actinomycin D(ACT-D)に感受性を示した。これら抗癌剤にcyclosporin A(CsA)添加による感受性変化を検討した場合、VCR耐性を克服し(IC_<50><10nM)、ACT-Dの感受性も増強した(IC_<50><1nM)。またp-glycoprotein(p-Gp),multidrug resistance associated protein(MRP),lung resistance-related protein(LRP)などの多剤耐性蛋白の発現を免疫組織学的ならびにRT-PCR法で調べてみると、両cell lineともp-Gp,MRPの発現は認められず、LRPのみ発現していた。さらに抗LRP抗体2.5μg/ml添加によりVCR耐性を克服した(IC_<50><20nM)。従って、このVCR耐性機構にはLRPが関与している可能性が示唆された。 最近、胃癌において高度先進医療の一環として抗癌剤感受性検査が保険適応となった。悪性黒色腫,乳房外Paget病、転移性汗腺癌などの進行期上皮性腫瘍について、コラーゲンゲルマトリックスを用いた3次元培養による抗癌剤感受性検査を行っている。さらに過去の症例についても免疫組織学的に耐性蛋白の発現状況をretrospectiveに検討している。
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