研究課題/領域番号 |
10670815
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
高橋 昌江 近畿大学, ライフサイエンス研究所, 助手 (10175432)
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研究分担者 |
手塚 正 近畿大学, 医学部, 教授 (20013964)
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キーワード | シスタチンα(A) / bactericidal permeability increasing protein / 皮膚の生体防御機能 / 抗微生物作用 |
研究概要 |
皮膚の生体防御機能に関連するタンパク質を検索するため、シスタチンα(A)、ヒトbactericidal permeability increaseing protein(BPI)などの性状について調べた。新生仔ラット表皮由来のリン酸化シスタチンαは、システインプロテアーゼの分泌が知られている黄色ブドウ球菌V8の増殖抑制作用を有していることを示唆する知見は得られているので、今回はポリオウイルスに対する増殖抑制作用を検討した。その結果リン酸シスタチンαおよびcornified envelopeのモデルとしてリン酸化シスタチンαとフィラグリンリンカーセグメントペプチドを表皮トランスグルタミナーゼで架橋して得られた高分子タンパク質の両者でウイルスの増殖抑制が認められた。そしてこれらのタンパク質はウイルスの複製に関与するシステインプロテアーゼの産生ならびにその酵素活性を抑制することも合わせて明らかになった。また疾患におけるシスタチンAの異常を検討する目的で、ウイルス性疾患の一つである伝染性軟属腫皮膚を用いてシスタチンAおよび他の表皮細胞分化のマーカーであるフィラグリン、ロリクリン、インボルクリン、Ted-H-1抗原タンパク質それぞれに対する抗体で免疫組織染色を行ったところ、抗シスタチンA抗体は有棘層中層から顆粒層の細胞質と反応し、巨大なケラトヒアリン顆粒では明確な陽性所見が認められなかった。したがってこの疾患においてシスタチンAは正常と異なった局在を示しており、その機能についても何らかの異常があるのではないかと考えられる。 またBPIについてはrecombinant BPIを作製して表皮トランスグルタミナーゼと反応させたところ高分子タンパク質の形成が認められ、BPIもシスタチンαと同様に表皮トランスグルタミナーゼの基質となり得る可能性が示唆された。
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