研究概要 |
1.細胞株を用いた照射実験 実験細胞株としてSaos-2(P53null)を用いBAG1およびBcl-xLをPlasmidにより導入しそれぞれの蛋白の過剰発現細胞株を樹立したのち、Co60を放射線源とし0Gy,5Gy,10Gyの照射をおこない、Colony formation assay、Flow cytometryによる細胞周期への影響およびapoptosisを観察した。BAG1の導入はWestern blottingにより確認した。結果 : 1)Colony formation assay.各々の線量で生存分画はbcl-xL,BAG1,コントロール株の順となった。2)Flow cytometryによる細胞周期への影響およびapoptosis.5Gy,10Gy照射48時間後、BAG1導入株ではapoptosisを示す2C以下の分画が減少していた。さらにコントロールでは照射によりG2blockが生じるのに対し、BAG1導入株ではG2blockのみならずG1blockが認められた。 2.扁平上皮癌における癌増殖遺伝子c-erb2発現と放射線治療効果 107例の子宮頚癌のパラフィン切片を用い、免疫組織染色によるc-erb2蛋白の発現を検討した。c-erb2の発現は31%の症例に認めた。C-erb2陽性郡の5年生存率は33%であり陰性郡の56%に比べ有意に低い値を示した(p<0.02)。また陽性郡の無遠隔転移生存率は5年で36%と陰性郡の69%に比べ有意に低い値を示した(p<0.001)。一方照射野内再発cerb2は関与していなかった。 これらの知見は個々の症例での治療計画の最適化に応用可能と思われる。
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