研究概要 |
脳血流製剤の内、蓄積型のI-123-IMP,Tc-99m-HMPAO,およびTc-99m-ECDは脳血流のみならず脳への停滞機序によって製剤の脳内分布が決定される.停滞機序は製剤や病態によって異なることがわかった. この差異の原因追求のために,蓄積型トレーサのTc-99m-HMPAO,およびTc-99m-ECDについて,トレーサの脳に到達直後から平衡状態に至るまでの分布動態を調べた.動態画像を撮るために,既存の頭部専用装置に超高速ダイナミックSPECT機能を付加するための開発を行った.最高速度1.7秒毎に10スライスのSPECTが撮れたので,超早期のトレーサ動態を断層像で観察可能となった.脳血流のゴールドスタンダードとされているXe-133クリアランス法との比較により,脳血流軽度低下域の平衡状態に至るめでの経過を観察した.その結果,通常のSPECTでは検出できない軽度な脳血流低下域が超早期には健常側との明白な差が認められ,徐々にトレーサが蓄積されてその差が見えなくなることが分かった.トレーサの停滞機序物質であるグルタチオンやエステラーゼは耐虚血性があるので,その範囲の軽度な低下域には遅れながらも徐々に蓄積されると推測した.
|