研究課題/領域番号 |
10670822
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
丸橋 晃 筑波大学, 臨床医学系・陽子線医学利用開発センター, 助教授 (30114135)
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研究分担者 |
納富 昭弘 筑波大学, 物理工学系・陽子線医学利用開発センター, 講師 (80243905)
奥村 敏之 筑波大学, 臨床医学系・陽子線医学利用開発センター, 講師 (50241815)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 陽子線治療 / 線量分布 / 増感紙 / CCDカメラ / イメージングプレート / 発光量LET依存性 / 細胞の分*能分布 |
研究概要 |
体表から腫瘍までの深さは場所場所で大変複雑に変化する。少なくとも2次元の、線量分布の情報を得ることは陽子線治療の局所制御率を上げるうえに不可欠な課題である。 この条件を満たす測定手段は、少なくとも二次元分布を測定できなければならないという条件を満足するものでなければならない。これに加えて、簡便性と高精度性が条件となる場合、現状においては蛍光発光板(フィルム、紙、プレート)が分布測定装置としての検討の第一対象となる。細密な位置情報の2次元分布を簡便に測定する可能性のある測定手段は分子レベルの検出素子が配列されたシンチレーションプレートである。この観点から、X線撮影に用いられている増感紙とX線のディジタル画像用のイメージングプレート(IP)が研究対象として選択された。増感紙の発光強度情報はCCDカメラによりリアルタイム的に得られ、積分的測定も可能である(ただし、この場合、受光部装置出力の放射線ノイズが大きくなる)。IPはノイズの少ない積分的な測定が可能であるが、像を得るまでにフェーディングによる発光の時間的変動が小さくなるまでの時間経過を必要とする。シンチレーション発光体を線エネルキー付与(LET)の大きく異なる放射線を使用する場合、LET依存性は最も重要な内容である。この課題の評価を中心として、それぞれに独自の評価項目を含む検出器としての検討を行った。本研究において、異なる長所と短所をもつ2種の測定方法は、それぞれ独自にあるいは組み合わせにより、必要な陽子線線量分布の二次元情報を簡便かつ高精度で得る可能性を示した。評価された2つの測定手段は従来から粒子線線量分布測測定に関して使用が検討されてきているプラスチックシンチレータに比べて、より有効である結果が得られた。 生物学的線量-効果分布測定にはポーラスにより整形された線量分布が使用された。増感紙により測定された物理線量分布とこの分布で照射された細胞(V79)の効果分布の相関が検討された。広い面積のボトルに播種された細胞に対する効果分布は生存率と増殖能の2点から検討された。増殖能は照射2日後の各コロニーを形成する細胞数により分別される。 生存率と増殖能については共に物理線量分布との相対評価を可能にする分布が得られた。しかしながら、前者は培養ボトル内の播種細胞数の均一性からのズレが大きく関与せざるを得ない指標であり、特に物理的線量分布の変化が激しい場合には大きな誤差を持つ可能性がある。これに対して、増殖能は局所的な細胞集団に対する効果比率を指標にしているものであり、物理線量分布の生物学的評価には有効と評価される結果が得られた。
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