研究概要 |
放射光による経静脈冠動脈造影の臨床的有用性を確立するために,撮像システムの改良を進め,平成11年5月に8例の患者に本造影検査を行った。その後は,平成12年2月まで高エネルギー加速器研究機構(KEK)放射光施設の都合から臨床応用は中断したが,この間に造影室の改造を行い,再開の準備を整えた。平成12年2月の時点で必要な準備はすべて完了し,平成12年2月から臨床応用を再開する。 一方,すでに臨床応用を実施した12例の結果をまとめ検討した。その結果,右冠動脈ならびに左冠動脈前下行枝については1例を除く全例で冠動脈の描出が可能であった。左冠動脈回旋枝については,左心室との重なりのために約半数での描出にとどまった。回旋枝については撮影方法を工夫するなど今後の改善が必要である。また,本造影法についてのアンケート調査を12例の患者に行ったが,8割以上の患者の印象として,簡便であり,もし必要があれば次回も利用したいとの評価を得た。したがって,本造影法の臨床的有用性は確立されつつあると考えられる。今後平成13年3月までにさらに約30例で本造影を行う予定である。 研究成果については,リストに示すように,平成11年度までに国内および国外の誌上に本研究の成果を発表した。
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