研究概要 |
放射光による経静脈冠動脈造影の臨床的有用性を確立するために,平成12年度には21例の患者で撮影を行った。その結果,右冠動脈ならびに左冠動脈前下行枝の主要部位は全例で描出できた。左冠動脈回旋枝は,近位部はほぼ全例で描出できたが,遠位部は左室と重なり描出できたのは約半数であった。これらの結果は,本造影法が有用であるというこれまでの結果をさらに確実にするものであった。 一方,検査の合併症は2例で造影剤による発赤が出現したのみであった。検査後の無記名の患者アンケート調査では,全員が「ほとんど苦痛がない」と回答し,さらに,ほとんどの患者から「冠動脈造影が再度必要になった場合には本造影検査を希望する」との回答を得た。本造影に対する患者の受け入れは良好であった。 これまでの本研究課題の成果を総括すれば,33例の患者に造影を実施することにより,本検査で冠動脈近位部の形態評価が十分可能であること,また本検査は簡便で侵襲の少ないこと,を確認できた。
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