研究概要 |
1. 早期非小細胞肺癌症例に対する放射線治療の実践 1) 放射線治療法について検討する. 肺門部早期癌6例に対して,遠隔操作式後充填式密封小線源装置を用いた腔内照射と外照射との組合せで放射線治療を行い,治療計画でえられた線量分布と腫瘍ならびに正常組織の照射に対する反応との比較検討を行った.その結果,腔内照射先行で照射を行う方が正常粘膜反応は軽度であることがわかった.腔内照射の線量評価点は,線源中心から気管では10mm,主気管支〜葉気管支では7mm,区域気管支では5mm,亜区域支では3mmとし,外照射との組合せでは,1回線量5Gyで2〜3回の腔内照射に外照射40Gyの併用が適当であると考えられた.また,腔内照射単独の場合には,1回線量5Gyで5〜6回の照射が適当と思われた. 2) 腫瘍の病理組織学的所見・アポトーシス関連遺伝子蛋白の発現と照射効果との関連性の検討 放射線治療を主体に治療を行った非小細胞肺癌36例の生検組織標本を用いてp53蛋白の免疫組織染色を行い,p53蛋白発現の有無と照射効果,生存率との比較を行った.その結果,p53蛋白発現が陰性の症例は陽性例にくらべ有意に照射効果が良好で,生存率も延長する傾向が認められた. 2. 非小細胞肺癌の至適分割照射法に関する基礎的検討 ヌードマウス可移植ヒト肺癌株の放射線誘発アポトーシスとp53などアポトーシス関連遺伝子(蛋白)発現の多寡には相関が認められ,野性型p53の発現と腫瘍増殖抑制効果との間には関連性があることが明らかとなった.
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