研究概要 |
ラットの皮下に埋め込んだ滲透圧ポンプから側脳室内に合成βアミロイド蛋白(1-40)を300pg/dayで持続的に2週間注入して、アルツハイマー病モデルラットを作成した。モデルラットと対照ラットについて行動薬理学的変化(記憶学習障害の程度)を8方向放射状迷路を用いて評価した。さらに,ムスカリン性アセチルコリン(mACh)神経系の変化を,mACh受容体は[^3H]QNB,Achトランスポータは[^3H]vesamicolを用いて定量的オートラジオグラフィ(バイオイメージングアナライザーBAS5000にて定量解析)にて評価した。次にモデルラット作成(側脳室内の合成βアミロイド蛋白持続注入)と同時に,腹腔内に副腎皮質ホルモン(リン酸ベタメタゾンナトリウム)を1.2mg/2wを持続注入し,行動薬理学的及びベサミコールイメージングの改善の有無について評価した。 モデル群では対照群と比較して迷路の正選択数が有意に低下したが,副腎皮質ホルモン投与により正選択数が増加した。[^3H]QNBの頭頂葉大脳皮質/小脳比はモデル群,対照群,副腎皮質投与群のいずれも有意差を認めなかった。一方,[^3H]vesamicolのトランスポータ結合量は対照群に比較してβアミロイド投与群で有意に低下し,副腎皮質ホルモン投与にて改善を示した。神経の変性脱落がおこるβアミロイド脳室内持続投与モデルラットにおいて[^3H]QNBオートラジオグラフィでは捉えがたい変化を[^3H]vesamicolオートラジオグラフィで捉えることができた。痴呆におけるアセチルコリン神経系の薬物効果の核医学的評価法としては,vesamicolによるシナプス小胞膜アセチルコリントランスポータ・イメージングが適しており,^<123>Iや^<18>Fなどで標識することによりSPECTやPETイメージングが期待される。
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