前立腺癌12例を対象としてC-11 acetateの臨床的有用性の検討を行った。C-11 acetateを185-370 MBq静脈内投与直後からポジトロンカメラを用いて20分間連続的に撮像した。さらに転移巣検索を目的として頭部より大腿部を約20分間で撮像した。1週間以内にF-18FDGを用いてPET検査を行い、C-11 acetateの結果と比較検討した。なお、F-18 FDGを用いたPET検査は尿中に排せつされたF-18 FDGを取り除くために、約1時間の撮像時に持続的に膀胱洗浄を行った。C-11 acetateを用いたPET検査では、C-11 acetateの尿中排泄はほとんどみられず、前立腺癌12例全例が異常集積として陽性描出された。C-11 acetateは投与後すみやかに癌に取り込まれ、数分でプラトーに達した。また、原発巣のみならずリンパ節および骨転移巣にも著明な集積がみられた。一方、F-18 FDGを用いたPET検査では、12例中4例では異常集積がみられず、陽性描出できなかった。また、病巣への集積程度もC-11 acetateの方がより高い傾向であった。C-11 acetateを用いたPET検査は従来の検査薬剤であるF-18 FDGに比べて、前立腺癌に対して高い検出能を持ち、検査時間も短く、かつ煩雑な膀胱洗浄も不要であり、高い臨床的有用性が示唆された。平成11度は、前立腺癌に対して継続して検討を行い、症例数を増やすと共に、C-11 acetateの癌への集積への血流の影響を検討するために、O-15 H_2Oを用いたPET検査を合わせて行い、さらに集積機序の解明を目的として、培養細胞を用いた基礎的検討を行う予定である。
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