前立腺癌を対象としたC-11 acetateの臨床的有用性の検討は前立腺癌5例を追加し、昨年度とあわせ前立腺癌17例となった。また、FDG PETとの比較に加え、骨転移に対する検出能について骨シンチグラフィと比較検討した。C-11 acetateを用いたPET検査では、C-11acetateの尿中排泄はほとんどみられず、前立腺癌17例全例が異常集積として陽性描出された。C-11 acetateは投与後すみやかに癌の取り込まれ、数分でプラトーに達した。また、リンパ節転移、骨転移巣にも著名な集積がみられ、骨転移27病変中23病変を検出可能であった。一方、F-18 FDGを用いたPET検査では、17例中5例では異常集積がみられず、陽性描出できなにかった。また、病巣への集積程度もC-11 acetateの方がより高い傾向であった。また、検出できた骨転移巣は17病変に留まった。C-11 acetateを用いたPET検査は従来の検査薬剤であるF-18 FDGに比べて、前立腺癌および骨転移に対して高い検出能を持ち、検査時間も短く、かつ煩雑な膀胱洗浄も不要であり、高い臨床的有用性が示唆された。さらに、acetateの腫瘍への集積機序を培養細胞とC-14 acetateおよびH-3 thymidineを用いて検討した。C-14はおもにposphatidylcholineおよび中性脂肪に存在し、細胞の増殖能と良好な相関を認めた。従って、acetateの腫瘍への集積は、acetateの同化経路によるもので、腫瘍の成長を反映しており、C-11 acetateを用いたPET検査が、腫瘍の増殖能を評価するのに適していることが示唆された。
|