研究課題/領域番号 |
10670842
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
竹田 寛 三重大学, 医学部, 教授 (70106988)
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研究分担者 |
佐久間 肇 三重大学, 医学部・附属病院, 助教授 (60205797)
松村 要 三重大学, 医学部, 助教授 (70126994)
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キーワード | 肥大型心筋症 / 冠血流予備能 / MRI / _<201>Tl心筋シンチグラム |
研究概要 |
1) 心機能に異常の無い肥大型心筋症患者28例、対照人7例を対象として、1.5テスラの超伝導MR装置を用いて冠血流予備能を計測した。k空間分割法による高速velocity encoded cine(VEC)MRパルスシークエンスを用いて冠静脈洞の血流速度を計測し、冠静脈洞の断面積との積より単位時間当たりの血流量を算出、さらに左室短軸高速シネMR画像より求めた心筋重量で除して、単位重量当たりの左室心筋血流量を求めた。安静時に対する冠血管拡張剤(デイピリダモール)投与後の左室血流量比を算出して冠血流予備能とした。冠血流予備能は、肥大型心筋症群で1.72±0.49と対照群3.01±0.75に比し有意に低下しており、肥大型心筋症では心機能に異常が無くても既に冠血流予備能が低下していることが示された。 2) これらの症例の内15例において運動負荷Tl-201心筋シンチグラムが施行されたが、いずれの症例においても運動負荷により心筋虚血は誘発されなかった。またGd-DTPA投与による心筋MR像で異常濃染を示した症例もみられなかった。 3) 上記1)と2)の所見が解離した原因として、MRによる冠動脈予備能は左室心筋全体を対象としているのに対し、Tl-201心筋シンチグラムは局所的な虚血を問題とすること、l-201心筋シンチグラムは心電図同期画像でないため微細な虚血や心内膜側のびまん性虚血を描出できないためではないかと思われた。 4)今後、肥大型心筋症患者を対象とし、心電図同期によるTc-99m MIBI運動負荷心筋シンチグラムを施行して微細な心筋虚血域の検出を試みると同時に、人心筋症のモデル動物である心筋症ハムスター(Bio.14.6)を用いて心筋血流と組織変化、さらには脂肪酸代謝や交感神経機能の異常との対比を行う必要があるものと考えられた。
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