研究概要 |
1, 目的 ratを用いて種々の脳内浮腫のモデルを作成しそれらの磁気共鳴(MR)画像(自由水と高分子結合水の測定に必要な交差緩和比画像、局所水分量の測定と血液脳関門の透過性の測定に必要なT1時間画像撮像)を得、組織標本と比較することで、原因や時間的位相の差により脳内浮腫の成分や有様に差があるかどうかを調べるとともに、それらがMR画像のコントラストにどの様に反映されるかを調べる。平成10年度はMR画像撮像のための条件の最適化を正常ratを用いて行った。 2, 方法 撮像は頭部の上下に平行に2個の3inchサーフェイスコイルを配置したrat固定器具を自作し臨床用1.5T超伝導MR装置で撮像した。rat(SDオス)は1.5-2.5%ハロセンで麻酔し自作温水ジャケットで体温低下を防いだ。 3, 結果 (1)交差緩和(MT)比画像 グラディエントエコー法(2D-GRASS)、TR=50msec、TE:-4.0msec、Flip Angle=20度、FOV=8cm、2mm厚、256x256、6NEXで撮像を行いMT用RFパルスはsinc波形のoff resonance250Hz幅のパルスを用いた。off resonance centerは200Hz-1kHzで変化させたが600Hzを超えるとMTコントラストを得るために必要なRF powerが増大した。off resonance center400HzにおいてRF powerをFlip Angleに換算して約90度から450度の間で測定したところ、この間ではほぼRF powerに比例して信号変化が観察された。これらの結果を踏まえてoff resonance center500Hz、RF power Flip Angleに換算し約450度で測定したMT比(%)=100x(Soff-Son)/Soff(MT用RFパルス有の信号強度Son、無の信号強度Soff)の計算画像を交差緩和比画像とした。(2)T1時間測定 conventional IR法(TR=2500msec,TE=14msec)とfast IR法(TR=2500msec,TE=16msec,echo train数6)でT1時間を9ポイントで撮像した。回帰曲線よりえられたT1時間を検討したところ両IR法での差はこの撮像条件では4%以下であった。また9ポイントすべてのデータを用いて得られたT1時間と150,400,800,1200.1900msec5ポイントのデータを用いた場合の差は3%以下でかつR2値が0.9以上であった。この結果T1時間測定はfast IR法5ポイントデータ測定で十分と考えられた。
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