臓器、組織におけるエネルギー産生系としての糖代謝は生体がその機能を維持するために根元的な生化学的反応であり、診断対象組織の質的診断を目的とする核医学検査において、この糖代謝機能評価は重要な診断目標である。そこで、糖代謝の重要な基質であるグルコースを母体構造として、利用の広汎性の高いSPECTによる組織糖代謝機能診断用放射性薬剤の新規開発研究を目的として、本研究を計画した。本年度はまず、昨年度に開発、合成したグルコサミン誘導体であるN-(p-iodophenetyl)-glucosamine(IBGA)の高比放射能標識体を得る目的で、ヨウ素-スズ交換反応により標識することを計画し、IBGAのスズ体の合成を行った。また、コンピューターシュミレーションによる構造活性相関の検討から、グルコースの2位に置換基を導入することの妥当性が確認されたので、インビボにおける置換基のサイズの影響を検討する目的で種々の置換基の導入が容易に行えるように、2位の水酸基をチオール基に置換したグルコース誘導体2-thioglucoseを合成した。プレリミナリーな検討として、このチオール基をC-11で標識されたヨウ化メチルを用いてメチル化し、その標識体の動物体内動態を検討した。その結果、母体化合物であるグルコースに比較してその取り込みは低いものの、集積型の時間放射能曲線が得られ、本研究によりデザインされた化合物の核医学診断薬剤としての可能性がさらに示されたものと考えられる。
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