研究課題
本研究ではX線源そのものの改善のために、X線源としては放射光(SynchrotronRadiation)を用いた。放射光を用いることによりX線の波としての性質を利用することにより屈折現象がおきることが証明された。具体的にはX線が生体組織を通過した時に生じる屈折を利用したイメージングを行う、これにより生体物質のX線吸収度の差ではない位相コントラストの画像を得ることができ、わずかな物質の差を非常に強調した画像が得られる。このことを様々な物理的ファントームを用いることにより証明した。つぎにこれを医学的に利用するために昆虫、カエルを用いてイメージングの実験を行った。この結果は従来のX線画像に比べて本研究で開発した屈折コントラスト法を用いることにより2桁空間分解能が改善された。また密度が異なる2物質間の境界面で屈折が生じることにより密度差が非常に強調された画像が得られた。次にマウス、ラットを用いてイメージングを行った、結果は空間分解能は約2ミクロンの優れた分解能が得られた。また密度分解能は屈折現象により従来のX線画像に比して非常に優れた画像が得られた。しかもこれらのイメージングに要する被爆量も通常のX線撮影法と同一で、本法の将来の有用性が期待される。この研究では物理の専門家とチームを作り研究を進めているが、本研究をさらに進めるためには多くの分野の専門家の協力が必要であり、名古屋大学理学部数学科のグループと現在協議を進めている。
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