研究概要 |
1) 16α-[^<18>F]fluoro-17β-estradiol(FES)は、16-epiestriolより合成した前駆体と、院内サイクロトロンより得た^<18>Fイオンを用いて合成した。溶媒は、5%エタノール・生理食塩水系混合溶媒、Tween80・エタノール・生理食塩水系混合溶媒または5%ヒト血清アルブミン・生理食塩水系混合溶媒の3種類を用いた。放射化学的純度は、98.2±0.95%、比放射能は36.5±1.25GBq/μmolであった。 2) FESの体内分布を検討するために、未成熟雌Sprague-Dawleyラット105匹(24-28生日、体重73.5±10.0g)の尾静脈よりFES1.79±1.05MBqを静注し、7,15,30,60,120,180,240分後に血液、子宮、卵巣、筋肉、肝臓、脾臓、腎臓、食道、肺、心臓、脳、骨を各5匹より摘出し、重量、放射能を測定した。FES集積は、体重で補正した投与量に対する集積(SUV)で評価した。 3) 投与後1ヶ月間の観察にて、死亡例はなく、体重の異常も見られず、各臓器の外観や重量に異常は見られなかった。 4) エストロゲンの標的臓器である子宮のFES集積は、FES投与後30分以内に最高値に達し、以後漸減した。子宮における投与1時間後のFES集積は、5%エタノール・生理食塩水系混合溶媒にて1.68±0・44SUV、Tween80・エタノール・生理食塩水系混合溶媒にて2.50±0.74SUV、5%ヒト血清アルブミン・生理食塩水系混合溶媒にて3.15±0.59SUVであり、溶媒の違いによる有意差は見られなかった。非標的臓器である筋肉のFES集積はそれぞれ、0.06±0.02SUV、0.05±0.02SUV.0.06±0.01SUVとわずかであった。 5) FES集積の特異性を検討するために、非標識estradiol 15μgをFESと同時投与し、FES集積を測定した。標的臓器である子宮のFES集積は各溶媒でそれぞれ、10.7%、7.2%、5.4%に抑制された。 6) 以上より、FESの前臨床段階における安全性、特異性、有用性が確認された。
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