研究課題/領域番号 |
10670860
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
林 邦昭 長崎大学, 医学部, 教授 (80039536)
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研究分担者 |
下川 功 長崎大学, 医学部, 教授 (70187475)
坂本 一郎 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (00225806)
松岡 陽治郎 国立長崎中央病院, 部長
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キーワード | 大動脈解離 / penetrating aortic ulcer / 大動脈瘤 / 大動脈硬化 |
研究概要 |
平成10年〜12年に長崎大学放射線部と関連病院で行われた大動脈解離とその関連疾患100例について詳細に検討した。すなわち、それらの症例に施行したCT、MRI、血管造影等の検査法で症例のStanford分類、また解離腔開存型と非開存型、penetrating atherosclerotic ulcer(PAU)と思われる症例について画像を中心に検索、手術例や剖検例については病理学的に検討し、次のような知見を得た。 1 大動脈解離とその関連疾患については、CTが最も有用な検査法であった。近年のCT機器の進歩により、CTの3次元画像を得ることが出来、それによって大動脈自体とその分枝の変化を非侵襲的に描出することが可能であり、血管造影はもはや必須の検査ではないことがわかった。 2 PAUの症例は全例で高血圧があり、その予後は通常の大動脈解離より不良であった。予後を左右するのは形態学的な変化よりも発症から1ヶ月間に増大する傾向があるか否かであることが判明した。1986年Stansonによって動脈瘤および大動脈解離とは全く異なる第3の病態として提唱されたPAUの疾患概念について我々は独自の考えを提唱した。すなわち、PAUは大動脈解離と大動脈瘤両者の上にまたがって存在する。これら3者の関係をわかりやすいシェーマで示した。大動脈解離の中に、2腔開存型と血栓閉鎖型とが含まれ、後者の中に含まれる内膜剥離のない大動脈解離aortic dissection without intimal tear(壁内血腫とも呼ばれる)は、小さな円にならざるを得なかった。 3 大動脈硬化症例での剖検標本でvasa vasorumのmicroangioを行った。しかしながら、まだ十分な症例数が集まらず、特に目標とした大動脈解離症例でのmicroangioの施行は成功していない。この点については、今後手術症例や剖検例について検討を続ける予定である。
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