研究課題/領域番号 |
10670860
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
林 邦昭 長崎大学, 医学部, 教授 (80039536)
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研究分担者 |
下川 功 長崎大学, 医学部, 教授 (70187475)
坂本 一郎 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (00225806)
松岡 陽治郎 国立長崎中央病院, 部長 (80181709)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | 大動脈解離 / penetrating aertic ulcer / 大動脈瘤 / 大動脈硬化 |
研究概要 |
平成10年〜12年に経験された大動脈解離とその関連疾患をできるだけ集め、それらの症例に施行した検査法が適切に行われたか否かをまず検討した。その結果、長崎県で平成11年、12年の2年間だけでも140例の大動脈解離症例が観察されていたことが判明した。男性62人、女性78人、年齢は20-94(平均68.6)歳、Stanford A78人、Stanford B57人、(不明5人)であった。penetrating atherosclerotic ulcer(PAU)と思われる症例についても検討し、以下のような研究成果を得た。 1 大動脈解離とその関連疾患については、CTが最も有用な検査法であり、現実にCTを施行された症例が最も多いことが明らかになった。近年のCT機器の進歩により、大動脈自体とその分枝の変化を非侵襲的に描出することが可能であり、血管造影はもはや必須の検査ではないことがわかった。 2 PAUの症例は全例で高血圧があり、その予後は通常の大動脈解離より不良であった。予後を左右するのは形態学的な変化よりも発症から1ヶ月間に増大する傾向があるか否かであることが判明した。PAUの疾患概念について我々は独自の考えを提唱した。すなわち、PAUは大動脈解離と大動脈瘤両者の上にまたがって存在することを示し、これら3者の関係をわかりやすいシェーマで示した。大動脈解離の中に、2腔開存型と血栓閉鎖型とが含まれ、後者の中に含まれる内膜剥離のない大動脈解離(壁内血腫とも呼ばれる)は、小さな円にならざるを得なかった。 3 大動脈硬化症例での剖検標本でvasa vasorumのmicroangioを行った。しかしながら、まだ十分な症例数が集まらず、特に目標とした大動脈解離症例でのmicroangioの施行は成功していない。この点については、今後手術症例や剖検例について検討を続ける予定である。
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