研究概要 |
平成11年度は、前年度に作成した画像データベース、すなわち埼玉医科大学総合医療センター、東大病院、国立精神神経センター、川口市民医療センターの各施設から提供された168例のなかから、SPECT,MRIおよび臨床データの揃った57例を選びだした。脳SPECTは、Tc-99m-ECD、Tc-99m-HMPAO、I-123-IMPを使用して撮像されたもの、脳MRIは高磁場の装置で撮像されたものである。臨床所見データとして神経学的所見および確定診断の根拠として画像診断の他、剖検、手術、血管造影、生検、臨床診断などの情報を出来る限り収集した。これら画像の読影診断会に参加した12人の医師が、各々あらかじめ印刷したワークシートに読影結果を記入し、コンピュータにより解析した。ROC解析により読影結果を分析したところ、A1-zheimerなどの痴呆の診断には、脳血流SPECTがMRIよりも有用との結果が得られた。これを各医師について個別に検討した所、医師間でかなりの差が有ることが明らかになった。この原因の一つは脳血流SPECTが新しい診断法であるためと思われた。この解決の為には医師の教育も非常に重要であるとの結果を得つつある。さらに詳細な検討を継続中である。成果の一部は、1999年10月のEuropean Congress of Nuclear Medicine,第39回日本核医学総会、同第52回関東地方会に発表した。
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