1.基礎的検討;心臓ファントームを用いた心内腔容積測定における収集および処理条件の検討 心電図同期心筋SPECTから心内容積および心駆出率を算出するQGSプログラムについて検討したところ、一定以上の収集カウントを得ること、再構成時の前処理フィルタに留意することにより精度の高い定量値になることが示唆された。 2.臨床的検討 1)バセドウ病による甲状腺機能亢進症例のI-131治療における甲状腺吸収線量の計測 I-131治療を行う57症例に重量推定を行うと共に、トレーサー量のI-131にて24時間摂取率、および有効半減期を測定し、Quimby-Marinelliの式から投与量を決定した。この時、甲状腺の吸収線量から患者を低線量群(50-60Gy)、中線量群(60-80Gy)、高線量群(80-90Gy)の3段階に無作為分類してRI治療を行い、線量と治療効果の関係を検討した。I-131治療後12ヶ月における治療効果は、低線量群で正常機能に移行する例が多く(75.0%)、高線量群では低下症に移行する例が増えた。甲状腺重量の測定値は治療効果の予測を反映しており、有効な手法と考えられた。 3)心電図同期心筋SPECTによる左右心室容積測定 ファントーム実験をもとに心疾患例を対象(27例)に心電図同期SPECTの心室拡張末期像と収縮末期像の重量値から心駆出率を測定し、冠動脈造影結果と比較した。QGSプログラムを用いた心駆出率はカテーテル検査で測定された値と良く相関(y=1.27X+9.25、r=0.962)し、日常の簡便な検査になり得ることが証明された。
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