本研究は腫瘍血管増殖因子の確認と血管増殖因子受容体のブロックによる温熱効果の増強を確認することである。悪性腫瘍は増殖能が大きく細胞分裂に必要な栄養や酸素等が不足すると細胞分裂を停止した細胞(GO期)が増加する。そこで温熱を加えると腫瘍血管が損傷を受け血流低下に伴う低pH、低血流、低酸素状態が更に進み腫瘍は生存するために血管増殖因子を放出して腫瘍内に血管を引き込もうとする。この時腫瘍血管増殖因子受容体を投与すると、腫瘍は血管が新生されたと感じて細胞分裂を開始(GO期細胞も細胞分裂周期に移動)する。しかし、実際には血管新生はされておらず、低栄養低酸素のため分裂途中で分裂不能になり死亡する。以上の内容を確認するために以下の実験を開始している。 現在、人臍帯(インフォームド・コンセントは行われている)より剥離した血管内皮細胞の培養条件を検索中である。血管内皮細胞による血管増殖因子の抽出と分離した血管増殖因子の血管増殖能を調べる目的で兎の眼球角膜への注入後の血管新生速度測定を開始した状態で、現時点では実験中であり結果は得られていない。 今年中に行う実験は(1)血管増殖因子を同定する。(2)血管増殖因子受容体を同定する。(3)血管増殖因子受容体を担癌マウスに投与して腫瘍縮小効果を測定する。(4)温熱効果の増強を確認する。以上の実験を行い血管増殖因子受容体投与による抗腫瘍効果を確認する予定である。
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