研究概要 |
手術前治療として動注化学療法を目的に、当科を受診する子宮頸癌患者を対象とし、初診時と初回TACE(transcatheter arterial chemoembolization,動脈化学塞栓術)施行3週間後にBiopsyを行い、-80℃に速やかに保存した。ホルマリン固定標本にH&E染色を施行し、採取したサンプルの少なくとも70%以上が癌細胞であることを確認した。脱パラ処理を行った検体からDNAを抽出し、PCR法によってDNAを増幅し、SSCP(single strand conformationpo1ymorphism)法でp53のexon5から8の変異遺伝子の存在の有無を検出した。SSCP解析で検出した変異の同定は、PCR-SSCPの時に用いたプライマーで再度PCRで増幅後サイクルシークエンシングを行い、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で異なる異動度を検出した。 新鮮なsampleの治療前とTACE後の生検組織を用いてWAFlmRNAの発現とTACE後の誘導の有無を調べた。すなわち検体の腫瘍細胞からtotal RNAをRNA PCR Kit(AMV)Ver.2.1(宝社製)を用いて調製し、RT-PCR(reverse transcriptase-polylmerase chain reaction)法によってcDNAを増幅してWAFl遺伝子の発現の有無を調べた。WAFl遺伝子のsense primerには5'-GCGCCATGTCAGAACCGGCTG-3',antisense primerには5'-GGATTAGGGCTTCCTCTTGG-3'を用いた。NIHイメージを用いて新鮮なTACE後の腫瘍組織のWAFl mRNA/G3PDHImRNAの値が治療前のWAFlmRNA/G3PDH mRNAの値と比較して1.5倍以上に増加した場合にWAFlmRNAの誘導有り、1.5倍未満の場合にWAFlmRNAの誘導なしとした。平成10年度に本研究の手技は確立した。さらに現在、ダイレクトシークエンス法によるWAFl塩基の異常の有無について検討している。現在研究は進行中である。
|