「研究目的」 外部放射線治療における患者体内線量分布を全領域で±3%以内の精度を満足する実用的な高精度3次元線量分布計算法を開発する。 「研究実績」 1. パソコン医用画像処理システムを導入して最新CT装置からの画像データ取り込み、処理システムを構築した。島津製パソコン医用画像処理システム「ピクモア」により島津製CT装置(Sfida)の画像を光磁気ディスクを介して取り込み、フォーマット変換後、フリーソフトOSIRISで画像化した。現在、患者体輪郭取得、CT密度データの処理法を検討している。 2. 現在使用されている外部放射線治療計画装置の全国アンケートを実施して、その使用計算アルゴリズム、計算精度等の現状について解析した。現在一部、3次元計算アルゴリズムの導入が始まっている。その計算精度については不明な機種が多い。一方、±3%以内の精度と回答した機種もあったが、その回答精度は電子平衡がほぼ成立している場合の精度であり、本研究で検討している非電子平衡領域についてはいまだ不明である。 3. 外部X線、γ線治療における体内散乱線の解析を行い、散乱X線、2次電子線、制動放射線の寄与率、およびコリメータ散乱線、ファントム散乱線、半影等の理論的検討を行っている。 現在、最も高精度の3次元線量分布計算アルゴリズムとしては、モンテカルロ法による理論計算結果を各要因の寄与率に使用したFast Fourier Transform(FFT)Convolution法およびpencil beam Convolution法が報告されているが、これらは共に実用的なアルゴリズムとはなっていない。実時間内で3次元計算するためには、各要因寄与率の簡略化が必要となる。
|