北大病院精神科神経科に通院中の症候性局在関連性てんかん患者のうち、継続して抗てんかん薬を服用している376症例を対象として、2年間の薬剤整理が発作に与える影響を検討した。服薬数は平均2.09から1.65剤へと統計学的に有意に減少し、発作が継続して認められる症例の全症例における割合も、加齢化による影響を補正した上でなお53.8%から48.7%と有意に減少した。発作頻度の検討が可能で2剤以上を服薬していた261症例(減薬可能例)で発作頻度をスコア化したところ、減薬群は非減薬群と比べて単純/複雑部分発作を改善したが、二次性全般化発作に明らかな違いは認められなかった。減薬が可能であった261症例中、減薬群と非減薬群で年齢、性差、発作頻度に明らかな違いはなかったが、通院期間が非減薬群で有意に長かった。減薬が可能であった側頭葉てんかん70例において、減薬により単純/複雑部分発作は有意に改善が認められたが、二次性全般化発作にらかな変化は見られなかった。前頭葉てんかん54例では、単純/複雑部分発作と二次性全般化発作のいずれにも減薬による明らかな影響が認められなかった。2年間で発作が消失した50例において、薬剤数の減少と残った抗てんかん薬の増量がみられたが、この二つの要因には明らかな相関が認められた。単剤で発作が抑制されている112症例の処方薬について検討すると、側頭葉てんかんではCBZ59.1%>PHT27.3%>VPA4.5%であったのに対し、前頭葉てんかんではPHT42.9%>VPA21.4%>CBZ7.1%、後頭葉てんかんではCBZ53.8%>VPA23.1%>PHA7.7%の順であった。このことから、抗てんかん薬の薬効は症候性局在関連性てんかんの下位分類によって異なることが示唆された。
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