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1998 年度 実績報告書

薬物依存動物モデルにおける脳内アミノ酸受容体の薬理学的、分子生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 10670889
研究機関筑波大学

研究代表者

鈴木 利人  筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (10196850)

研究分担者 伊藤 武彦  岡山大学, 教育学部, 助教授 (10291973)
馬場 淳臣  筑波大学, 臨床医学系, 講師 (80292556)
白石 博康  筑波大学, 臨床医学系, 教授 (50009651)
キーワードGABA receptor / cocaine / mRNA subunit / picrotoxin site / in situ hybridization / autoradiography / drug abuse / sensitization
研究概要

コカインは常同行動や自発運動の光進を、ヒトで幻覚妄想や不安焦燥状態を惹起する。その作用機序はドパミン神経系やセロトニン神経系の神経終末における再取り込み阻害作用が指摘されているが、これによってその他の神経伝達系の異常も生じる結果、投与後の変化や脳部位別の変化はより複雑である,近年では線条体のc-fosやJun B、zif268などのImmeadiate-early gene(IEG)の変化が報告され、細胞内セカンドメッセンジャー系や核内耘写因子の異常が検討されている。今回、我々はGABA_A-benzodiazepine(BZD)受容体複合体に注目し、コカインの急性および慢性投与による本受容体複合体の結合量を[^<35>S]TBPS結合の変化を用いて、またmRNA subunitsの変化(α1、α6、β2、β3、γ2)についても検討した。SD系雄性ラットにcocaine HCl(20mg/kg)を、1日1回腹腔内投与した。急性投与群は投与lhr後に断頭した。慢性投与群は、2群に分けた。第1群では14日間の連投終了24hr後に、第2群では連投終了1週間後に断頭した。断頭後12μmの脳切片を作成し-80℃に凍結保存した。GABA_A-BZD受容体複合体mRNA量は、[a-^<35>S]dATPでラベルしたoligonucleotide probeを用い、In situ hybridization法によりal、a6、β2、β3、γ2subunit mRNAの変化を検討した。[^<35>S]TBPS結合能は、50mM Na/K phosphate bufferを用いてautoradiography法により行い、非特異的結合は10μM picrotoxinにより総結合能の3-5%であった。定量的解析には、storage phosphor imaging法によるBAS 5000((株)富士フィルム、東京〉で用いた。測定は大脳皮質(帯状回、頭頂葉、側頭葉、)や海馬(CAl-3、歯状回)、視床、下丘、小脳で行った。
急性投与群では、αl、β2 subunit mRNA量が大脳皮質、海馬、小脳で有意に低下していた。γ2 subunitmRNAは海馬で、さらにα6 subunits mRNAは小脳で低下していた。一方、β3 subunitは大脳皮質で低下し、海馬で増加していた。慢性投与でβ3 subunitが大脳皮質および線条体で有意に低下していた。一方、以上の状態では[^<35>S]TBPS結合能は著変を認めなかった。連日投与終了1週間後(離脱状態下)においては、α1およびβ3 mRNA量は大脳皮質と海馬で増加し、[^<35>S]TBPS結合能も有意な増加を認めた。しかし黒質ではいずれのmRNA量の変化を認めなかったが[^<35>S]TBPS結合能の有意な減少を認めた。以上から、コカイン急性投与後一過性のドパミン神経系の過活動状態に続きGABA神経系の機能亢進が生じ、それに対するNegative feedbackとしてsubunit mRNA量の減少が生じたと考えられた。さらに細胞内の一過性のCa2+濃度の増加により細胞内転写因子に異常が生じsubunit mRNAのdegradationなどのturnoverに変化が生じた可能性がある。今後subunit mRNAの経時的変化を検討する必要がある。コカインの慢性投与により生じる過感受性状態では、GABA_A-BZD受容体複合体の機能低下が生じ、離脱期においては逆に一過性の機能亢進が生じていることが示唆された。

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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