研究課題/領域番号 |
10670890
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橋本 大彦 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (90292911)
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研究分担者 |
福田 正人 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (20221533)
染谷 利一 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30301104)
加藤 忠史 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30214381)
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キーワード | 自閉症 / ドーパミン / D4受容体 / 遺伝子多型 |
研究概要 |
自閉症は、性差、一卵性双生児での一致率、同胞での認知障害の頻度などから、遺伝子レベルでの素因が考えられている。本年度の研究では、自閉症状との関連が議論されることが多いドーパミン系について、D4受容体の多型性を疾患の行動面の修飾因子として検討した。 自閉症患者48名(男性47名、女性8名、19歳から40歳)を対象とし、同意を文書で得て、静脈血をPCR用に採取した。また、全例に面接を行い診断を確認した。行動症状は改訂行動質問票で把握し、知的発達の評価に太田のステージ評価を用いた。対象とした遺伝子多型は、11番染色体短腕の11p15.5に同定されているドーパミンD4受容体の細胞質内第3ループに存在する1-7回の48bp繰り返し配列である。この繰り返し配列は、繰り返し回数の多さと新奇性を求める行動特徴との関連が報告されている。 発達段階は太田のステージIが3名、IIが8名、III-1が15名、III-2が13名、IVが8名、施行不能が1名であった。行動特徴が確認できた44名では、Wingのいう孤立群が0名、受動群が35名、活動的で奇異な群が9名であった。D4の繰り返し多型の遺伝子頻度は、7回繰り返しが0、6回繰り返しが0,5回が3(3.1%)、4回が79(82.3%)、3回が0,2回が14(14.6%)、1回が0であった。5回繰り返し配列をもつ3例の行動特徴を評価表からみると、1名については好奇心が強く、活動的で奇異な群に相当する評価を受けている。しかし、同じ特徴を持つ他の8例ではすべて4回以下の繰り返し配列であった。 今回得られた、自閉症のD4の繰り返し配列多型の対立遺伝子頻度は、過去に報告されている健常の日本人集団と差が認められなかった。行動特徴と繰り返し回数との関連も明らかではなかった。
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