本研究は、生体時計に起因すると考えられる疾患(睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群、非24時間睡眠覚醒症候群、季節性感情障害、短期反復性うつ病、双極性障害)における生体リズム関連遺伝子(メラトニン受容体遺伝子であるMEL1a及びMEL1b、メラトニン産成の律速酵素であるN-acetyltransferace、hPERなどの生体リズム周期を調節する遺伝子)の異常を検討しその病態生理を明らかにするすることを目的に開始した。 本年度は、上記疾患でのメラトニン受容体遺伝子MEL1a及びMEL1bの異常を見つけるための準備段階として、測定系の確立を行った。即ち、MEL1a及びMEL1bはそれぞれ2つのexonからなり、目的とする遺伝子領域の遺伝子異常をPCRにより検索するためには、その外側にprimerを設計する必要がある。cassette法を用いて、本年度はそれぞれの外側の遺伝子配列を読むことに成功した。来年度は、この方法を用いて、実際に患者に応用する予定である。また、(2)人の生体時計調節遺伝子perのhomologであるhPERの異常を見つけるための測定系を確立した。即ち、末梢血からmRNAを回収し、RT-PCR法によりcDNAを作成し、PCRで増幅した産物をdirect sequence法により遺伝子配列を読んだ。現在、全長をsequenceするためのいくつかのprimerの設計は終了している。来年度は、この方法を実際の患者に応用する予定である。
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