研究概要 |
「ACh分泌における5-HT_<2A>受容体と5-HT_<1A>受容体の相互作用の解明」を目的に、Wistar系雄性ラット前頭葉に透析プローブを留置し、二日後無麻酔・自由行動下で0.1μMのneostigumineを含む人工脳脊髄液を還流させ、その中に含まれるAChをHPLC-ECDによって測定した。 5-HT_<1A>受容体agonistの8-OH-DPAT(1.0mg/kg)の皮下投与により、ACh分泌は軽度増加したが、5-HT_<1A>受容体antagonistのWAY 100-635(0.1mg/kg,sc.)では有意な影響はもたらされなかった。同様に透析プローブを介して前頭葉に60分間投与したWAY 100-635(0.1,10μM)も、ACh基礎分泌値には有意な変化をもたらさなかった。Fenfluramine(10mg/kg;ip.)投与30分後にWAY 100-635(10μM,60分間)を前頭葉に投与したが、fenfluramine単独投与群と比較して有意な差は認められなかった。5-HT_2受容体agonistのDOI(2.5mg/kg,ip.)投与30分後にWAY 100-635(10μM,60分間)を前頭葉に投与したが、同様にDOI単独投与群との比較では有意差は認められなかった。しかし、D0I投与後に8-OH-DPAT(10μM,60分間)を前頭葉に投与したところ、ACh分泌は著しく増加した。Ketanserin(5mg/kg,ip)投与30分後に8-OH-DPAT(10μM,60分間)を前頭葉に投与したところAChは軽度増加したが、ketanserin単独投与群との比較では有意差は認められなかった。前頭葉に投与した10μMの8-OH-DPAT(60分間)はAChを増加させるため、以上の実験結果から〓5-HTはシナプス後5-HT_<1A>受容体を介してACh分泌をtonicには促進していない、〓fenfluramineによるACh分泌の増加は主として5-HT_<2A>受容体を介して行われており、この際5-HT_<1A>受容体は重要な役割を担っていない、〓5-HT_<2A>受容体が活性化している状態では、5-HTによるシナプス後5-HT_<1A>受容体を介するACh分泌促進作用は亢進している可能性が示唆された。
|