研究課題/領域番号 |
10670902
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
平野 均 山口大学, 保健管理センター, 助教授 (70228807)
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研究分担者 |
小林 孝吉 山口大学, 医学部・附属病院, 医員
平田 牧三 山口大学, 保健管理センター, 教授 (10156672)
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キーワード | アセチルコリン分泌 / エストロジェン / 大脳皮質 / セロトニン神経系 / fenfluramine / 脳微少透析法 |
研究概要 |
「前脳基底部-皮質choline(Ch)作動性神経系」に及ぼすestrogenの影響を解明する目的で、脳微小透析法を用いて経時的に卵巣摘除ラットの前頭葉acetylcholine(ACh) 分泌を測定した。Wistar系雌牲ラットの両側卵巣を摘出した後、無作為に4群に分類した。19日後に前頭葉への透析プロ―ブ留置術を実施し、終了後直ちに4群のラットに、ゴマ油に溶解した3.0μg/kg(低容量群)、30μg/kg(中用量群)、300μg/kg(高用量群)の17β-estradiol benzoate、あるいはゴマ油(対照群)を皮下投与した。脳微小透析実験は2日後に行った。 低容量群、中用量群、高用量群、対照群の血清17β-estradio1値は、それぞれ7.2土4.6pg/ml、14.3土4.6pg/ml、1276.7土564.1pg/ml、3.3士3.3pg/mlであった。一方、前頭葉ACh基礎分泌値はそれぞれ134.3土13.2fmol/min、155.2土16.0fmol/min、146.9士16.6fmol/min、154.4士23.9fmol/minであり、4群のACh基礎分泌値には有意差は認められなかった。さらに、fenfluramineにより増加した前頭葉ACh分泌量にも、4群間には有意差は認められなかった。 以上の結果から、(1)あくまでも今回の実験条件の範囲内でのみ推察できることであるが、「前脳基底部-皮質Ch作動性神経系」の活動性と刺激反応性は、血清estradiol濃度には影響されないことが示唆された。同時に高々2日間のestrogen補充によっては、(2) 「前脳基底部-皮質Ch作動性神経系」の機能は回復しない可能性、ならびに(3)ACh分泌に関与する5-HT_<2A>受容体機能(おそらくはB_<max>)も回復しない可能性が示唆された。
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