研究概要 |
1. 胎生期過密ストレスおよび乳児期母仔分離が学習記憶行動に及ぼす影響 T字型迷路を用いて学習記憶能力を評価した。胎生期過密群では7週令では対照群との間に差はなかったが、20週令で有意に低下した。母仔分離群は7週令、20週令のいずれも対照群との間に差はなかった。血清コルチコステロンは胎生期過密群では過剰分泌傾向にあり、母仔分離群では抑制されていた。過剰な副腎皮質ホルモンは海馬の神経細胞に障害を与えるといわれているので、胎生期過密群では海馬に変化が起こっている可能性がある。次年度は海馬のグルココルチコイド受容体を測定し、中枢レベルで機序を明らかにする予定である。 2. 乳児期母仔分離が仔の攻撃行動に及ぼす影響 出生後早期に母仔分離を行ったマウスを用いて、成長後の攻撃行動の発現について検討した。思春期〜青年期の雄性マウスに攻撃行動が発現し、その攻撃性は経時的に増強された。また血清テストステロンが、母仔分離によって有意に上昇した。次に大脳内のセロトニン受容体密度を測定した。5-HT_<1A>,受容体密度は、母仔分離群と対照群間で6週令、27週令いずれにおいても差はみられなかった。5-HT_2受容体密度も両群間で差はなかった。今回は大脳全体での測定のため、差が出なかった可能性がある。次年度は大脳皮質や海馬でのセロトニン受容体の変化をみる予定である。
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