研究課題/領域番号 |
10670915
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
渡辺 義文 山口大学, 医学部, 教授 (90182964)
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研究分担者 |
湊川 文子 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (60146272)
末次 正知 山口大学, 医学部, 助手 (40294631)
兼行 浩史 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (30263784)
飯田 淳史 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (40255089)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | ストレス脆弱性 / Wistar Kyotoラット / 視床下部-下垂体-副腎系 / c-fos m RNA / ストレス適応 / コルチコトロピン遊離ホルモン / チロシン水酸化酵素 / セロトニントランスポーター |
研究概要 |
慢性ストレスに対して馴れを生じず、適応不全に陥り易い性質をストレス脆弱性と呼ぶ。うつ病では心理・社会的ストレスを誘因としてうつ状態に陥ることから、うつ病患者は遺伝的素因としてストレス脆弱性を有し、慢性ストレス負荷により容易にストレス不適応状態に陥り、うつ病が発症するとのストレス仮説が考えられている。うつ病態を研究する上で、ストレス脆弱性を有する動物モデルは必要不可欠なものと思われる。 このストレス脆弱性を有する動物モデルの候補として、神経内分泌学的、行動学的に急性ストレスに対して反応過敏性を示す純系のWistar Kyoto(WKY)ラットを考え、慢性ストレスに対する適応反応を検討した。その結果、視床下部-下垂体-副腎(HPA)系ならびにストレス惹起性不安行動に関しては馴れを生じず、ストレス適応不全を示した。一方、神経興奮伝達の化学的指標とされるc-fos遺伝子発現に関しては、慢性ストレス負荷により脳内各部位におけるストレス反応性発現増大が減少するという馴れを示し、上述したHPA系や不安行動の適応不全とは乖離した結果となった。 そこで、WKYラットのストレス脆弱性をさらに検討するため、c-fos遺伝子の発現の後、遅れて発現してくるlate response genesのなかで視床下部室傍核のコルチコトロピ遊離(CRH)遺伝子、青斑核のチロシン水酸化酵素(TH)遺伝子、縫線核のセロトニントランスポーター(5HTT)遺伝子の発現について急性ならびに慢性ストレスによる変化を検討した。その結果、CRH遺伝子ならびにTH遺伝子は急性ストレス刺激によって発現増加がみられるが、慢性ストレス負荷によってそのストレス反応性の発現増加が消失するという適応現象が、対照となるWistarラットとともにWKYラットにも認められた。この結果は、c-fos遺伝子のストレス反応性の結果とよく一致しており、ともにWKYラットのストレス脆弱性に否定的であった。なお、5HTT遺伝子発現はストレスの影響を全く受けなかった。 うつ病の病態生理と深く関連するセロトニン神経系機能について、セロトニン代謝回転のストレス反応性についても検討したが、WKYラットとWistarラットの間には差は認められなかった。 以上の結果から、WKYラットのHPA系ならびにストレス惹起性不安行動にみられるストレス脆弱性はセロトニン、ノルアドレナリン、CRHとの関連は弱く、今後、HPA系との関連でグルココルチコイドホルモン受容体や視床下部室傍核のバソプレシンなどの検討が必要と考えられた。
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