研究概要 |
拘束ストレスによる脳内の誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)mIRNA濃度の変化をRevcrse transcription-polymerase chain reaction(RT一PCR)法を用いて調べた。実験には7〜9週齢のSprague-Dawley系雄性ラットを用いた。以下の動物の取り扱いはHandbook for the Use ofAnimals in Ncuroscience Researchに従った。ストレス開始前及び、拘束ストレス開始0.25,0,5,1,2,4,6時間後にエーテル麻酔下にて断頭し、素早く脳を取り出して視床下部、前頭皮質、海馬、脳幹、小脳、に分けた。今回調べたすべての脳部位で、拘束開始前のiNOS mRNAは検出限界以下であった。また調べた全ての部位で、拘束開始後30〜60分前後にピークのある増加を示した。 次に、拘束ストレス負荷によってラット脳内のNO産土量が変化するかどうかをマイクロダイアライシス法によって調査した。還流液を20分間隔で回収し自動NO検出器(ENO-10,Eicom,Kyoto)に打ち込んで亜硝酸イオン、硝酸イオン濃度を測定した。結果、拘束開始後20分から80分まで硝酸イオン濃度は有意に上昇した。この変化は、非特異的NOS阻害剤であるN-nitro-L-arginine methyl esterの前投与によって消失した。 今回の実験で、一過性ではあるが拘束ストレスを負荷されたラット視床下部におけるNOの産生量が高まることが示唆された。このことから、NOが中枢のストレス応答に関与している可能性が示された。また、この変化がNOS阻害剤の前投与によって消失したことから、このようなNOの変化にNOS活性が関与していたことが示唆された。
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