研究概要 |
老化に伴い早期に痴呆を呈するアルツハイマー病の本態を明らかにすることは、老化の機構やその制御の解明の一助となる。そこで病的老化であるアルツハイマー病のモデル動物を確立し、老化現象とその制御の解明に役立てることを研究目的とし,本年度は(1)in vitroの実験系の確立を目指したニューマンピック病C型マウスの神経細胞培養 (2)骨髄移植療法は病的老化の制御に役立つか?について研究を行った。 市販のコントロールマウス(C57BL)の妊娠14〜15日胎仔の大脳ホモジネートから得たペレットを培養し,一部にS-100,NSE,GFA陽性細胞を認めたが,培養後5週で陽性細胞は殆ど消失した。 市販のコントロール新生仔マウスおよびC57BL/KsJから生まれた新生仔マウスの大脳のホモジネートから得たペレットも同様の処理で培養した所,極く一部にS-100,GFA,NSE陽性を示す細胞を認め,4週後には線維芽細胞のみとなり,in vitroでのアルツハイマー病の神経細胞株の樹立には成功しなかった。現在薬剤を用いた系の確立および小脳神経細胞からの樹立を目指している。 なお,骨髄移植の効果については骨髄移植を行った8週齢のspm/spmマウスでは,細胞間にユビキチン陽性の変性蓄積物は殆ど消失しており,正常のコントロールマウスとほぼ同様の所見を示した。本病では骨髄移植による神経症状の改善は認めないものの,脳内でも異常蓄積物の処理が行われる点が確認された。NFTや抗ANT抗体陽性細胞の消失の有無は今後の研究課題である。
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