研究課題/領域番号 |
10670923
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
尾崎 紀夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (40281480)
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研究分担者 |
岩田 仲生 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師
佐藤 哲哉 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (00187212)
永津 俊治 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 教授 (40064802)
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キーワード | 気分障害 / 遺伝子 / 性格 / 治療反応性 / 養育体験 |
研究概要 |
DSM-IVに従って診断を下した気分障害患者のうち、文書で同意の取れたものから採血し、血漿を分離して血漿サイトカインレベルを測定すると同時に、血球成分からDNAを抽出した。また、抗うつ剤投与の前後で、ハミルトン抑うつ評価尺度、Beck Depression Inventoryを行い薬物反応性を検討した。さらに、Temperament and Character Inventory(TCI)およびParental Bonding Instrument(PBI)を用いて、人格尺度と養育体験に関するデータを集積した。その結果、60名の急性期うつ病患者において、抗うっ剤治療前後でのTCI得点を比較を行い、さらに治療前後のTCI得点を正常対照者のそれと比較した。TCIの下位次元の内、損害回避、自己志向、協調は、治療反応例では治療前後で変化に乏しいが、治療反応例では正常対照者の値の方向に有意に変化した。自己志向と協調の得点は治療反応例では治療後、正常対照者と同じレベルにまで正常化されたが、損害回避の得点は治療反応例の治療後も正常対照者の値から大きく逸脱したままであった。以上から、損害回避、自己志向、協調はうつ病の状態に敏感であり、損害回避はうつ病のtraitであると考えられる。血漿サイトカインの検討では、未治療のうつ病患者はsoluble tumor necrosis factor receptor typeIが健常者に比較して有意に低く、soluble tumor necrosis factor receptor typeIIが健常者に比較して有意に高いという結果を得ている。
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