研究概要 |
DSM-IVに従って診断を下した気分障害患者で、文書で同意の取れたものから採血しDNAを抽出した。またそのうち、大うつ病患者17名に関しては抗うつ剤投与の前後で、ハミルトン抑うつ評価尺度、Beck Depression Inventoryを行い薬物反応性を検討すると同時に、リンパ球系、及び単球系を分離して、無刺激、PHA刺激後、LPS刺激後の血球産生IL-2,IL-10,sTNF-RI,sTNF-RII、及びNH2レベルをELISA測定し、うつ病の免疫学的側面の研究を行った。その結果、以下の知見が得られた。 1)治療前のうつ病患者は、健常者に比して、単球・マクロファージによるIL-10産生能は充進していた。 2)治療後のうつ病患者は、健常者に比して、単球・マクロファージによるNH2産生が亢進していた。今後、うつ病に見られた免疫学的所見が、遺伝子レベルでの背景があるのかどうか、興味のあるところであり、検討を要する課題である。 気分障害に関連する候補遺伝子として、脳内モノアミン系遺伝子の多型検索をSSCPを用いて行っており、今後、5-HT5a,2b受容体構造遺伝子領域などに新たに見出した多型と気分障害との関連研究を行う予定である。その際、単に診断との関連のみならず、薬物反応性、およびTemperament and Character Inventory(TCI)との関連を検討する予定としている。
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