研究概要 |
ヒト同種造血幹細胞移植後におけるT細胞再生の機序について、T細胞受容体(TCR)レパートリーの観点から解析した。移植後2ないし3ヶ月めにT細胞抗原受容体α鎖可変領域(T-cell receptor α-chain variable region,TCRAV)およびT細胞抗原受容体β鎖可変領域(T-cell receptor β-chain variable region,TCRBV)レパートリーのskewingが観察され、その程度は成人においてより顕著であった。TCRAVおよびTCRBVレパートリーのゆがみはクローナルなT細胞の増加に起因し、TCR-β鎖complementarity-determining region 3(CDR3)領域にコンセンサスシークエンスがみられる症例が存在した。CDR3スペクトラタイピングによりレシピエントの免疫能はαβ型T細胞レパートリーの回復に依存していることが示された。これらの結果は移植後早期におけるT細胞再生経路の主体は動物実験モデルでその存在が証明されているperipheral expansionであることを示唆している。
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