研究概要 |
ヒト同種造血幹細胞移植後における免疫再構築についてT細胞受容体(TCR)の多様性の観点から解析した。移植後ほとんどすべての症例においてT細胞抗原受容体α鎖可変領域(T-cell receptor α-chain variable region, TCRAV)およびT細胞抗原受容体β鎖可変領域(T-cell receptor β-chain variable region, TCRBV)レパートリーのskewingが観察された。TCRAVおよびTCRBVレパートリーのゆがみはクローナルなT細胞の増加に起因し、CD8+CD28-T細胞が増加するためであることがわかった。 CDR3スペクトラタイピングにより、レシピエントの免疫能は主としてαβ型T細胞レパートリーの回復に依存し、γδ型T細胞の再構築とはあまり相関しないことが示された。 以上の結果は移植後早期におけるT細胞再生経路の主体がαβ型T細胞のperipheral expansionであることを示唆していると考えられた。
|