研究概要 |
1. 我々の確立した微量定量法によりara-C投与時の患者白血病細胞内活性型代謝物ara-CTPの薬理動態と臨床効果との関連を検討した。12人の白血病患者において延べ17コースのara-Cまたはその誘導体N^4-behenoyl-ara-C(BHAC)投与後経時的に白血病細胞内ara-CTPと血中ara-C濃度を測定した。ara-C 60-125mg/m^224時間持続点滴投与時にara-CTPの定常濃度Css(濃度曲線下面積 AUC)は19.2±11.2 p mol/5×10^6cells(461±270 p mol・h/5×10^6cells)であった。ara-C 45-100mg/m^21時間点滴投与時にara-CTPの最高濃度Cmax(AUC)は22±7.5(102±34)であった。BHAC70-130mg/m^21-2時間点滴投与時にara-CTPのCmax(AUC)は17.1±10.4(152±52)であった。1時間点滴のara-C,BHACは通常1日2回投与であることより1日量で比較するとara-CTPのAUCは,ara-C 1時間点滴204,BHAC 1〜2時間点滴304,ara-C持続点滴461となり,臨床におけるintensityを反映した結果となった。 以上の如く,通常量のara-C或いは,その誘導体BHAC投与時において,細胞内ara-CTP濃度の測定,AUCの算出が多数例で可能であることが実証できた。今後は臨床効果や毒性との関連を検討すると共に,更にara-C少量療法でのara-CTP関連パラメターの算出につき検討を重ねる予定である。 2. 細胞内ara-CTPを基質としてポリメラーゼによりDNA内へ転入したara-C量(治療効果と密接な関係にあるとされる)の測定法の確立を試みた。細胞を強酸処理してDNAを含む酸不溶性分画を抽出しさらにDNAを分画した。得られたDNAを酵素的にヌクレオシドへ分解しHPLCを用いてara-Cを分画することに成功したが,若干回収率が低値であり現在その改善につき検討を進めている。
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