研究概要 |
今年度は新しく開発された血中濃度自動シュミレーターを用い、in vitroで臨床投与時のpharmacokineticsを正確に反映した条件を設定し、ara-Cの細胞増殖阻害効果について検討した。シュミレーターを用い白血病細胞株K562を臨床的中等量ara-C療法(1g/m^2,2hr)で投与した条件で培養し、投与開始24時間後の薬剤非添加群に比した増殖阻害効果は7.1%(clonogenic assayにより検討)であった。またシミュレーターを用いて通常量療法に相当する100mg/m^2ara-CをAUCを等しくして、2,4,8,16時間で投与した条件下で培養すると、細胞増殖率はそれぞれ76%,72%,34%,15%であり、同剤の明瞭な阻害効果における時間依存性が確認された。別に静置条件下で細胞をシミュレーターにおけるCmax相当のara-C存在下でそれぞれ2,4,8,16時間培養し、薬剤添加24時間後の増殖阻害効果を同様に求めるとそれぞれ、51%,60%,60%,65%であり時間依存性は認められなかった。(Cancer Res.59(11),2629,1999)また、我々の確立した微量定量法により、ara-Cの細胞内活性型代謝物ara-CTPを通常量16時間投与において測定し両実験系で比較すると薬剤添加16時間後でシミュレーター実験系及び静置条件実験系でそれぞれ25.9p mol(/ 5x 10^6 cells)及び8.3p molで、24時間後でそれぞれ13.7p mol、7.0p molであり増殖阻害効果における結果を反映していた。以上よりシミュレーター実験系は薬剤の血中動態上の特性を反映し、in vivo抗腫瘍効果予測に非常に有用であると考えられた。
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