研究概要 |
我々が分離したCEV14が乗っている遺伝子部位が14q32であることよりこの遺伝子座が関与していると思われる白血病の染色体転座を検索し、その生物学的な意味を検討した。 CEV14,CEV14-PDGFRb遺伝子のクローニングとCEV14の発現 K562細胞から新たにcDNAライブラリーを作製し、全長のクローニングを行った結果、約6.4kbのCEV14遺伝子(long)を得た。これから推測されるCEV14-PDGFRb遺伝子(long)は約8.5kbとなる。CEV14遺伝子を用いて、ノーザンブロット法により各種臓器における発現を調べた結果心臓,筋肉,膵臓,骨髄には比較的強い発現が認められ、肺,肝臓には弱い発現が認められた。 CEV14-PDGFRb遺伝子の活性化 Short及びlong formのCEV14-PDGFRbとPDGFRb遺伝子を哺乳細胞用の発現ベクターに挿入した。これらを293細胞に導入し抗PDGFRb抗体を用いたウエスタンブロットで検索し、short及びlongのCEV14-PDGFRbとPDGFRbが蛋白として発現することを確認した。 CEV14-PDGFRbのチロシンキナーゼが活性化しているか確認するため、まずshort及びlongのCEV14-PDGFRbの発現ベクターを293細胞にトランスフェクトし、細胞のライセートをPDGFRb抗体を用いて免疫沈降を行った。次に免疫沈降物をウエスタンブロットし活性化チロシン抗体を用いた検索を行ったところshort及びlongいづれにおいてもCEV14-PDGFRbのチロシンの活性化を示す結果が得られた。CEV14-PDGFRb融合遺伝子においてはPDGFRb遺伝子の細胞外領域がCEV14遺伝子と置き替わることにより、PDGFRbのチロシンキナーゼの恒常的活性化が引き起こされ、この症例において白血病のクローナルエボルーションに関与したと考えられる。
|