研究概要 |
白血病細胞株BV173は野性型p53を有し、放射線照射とcytosine arabinoside処理で、共にBax遺伝子発現は誘導されるが、Fas/APO-1はcytosine arabinoside処理ではほとんど誘導されなかった。Fas/APO-1の誘導の相違について、放射線照射とcytosine arabinoside処理でp53の性状に相違がないかどうかを等電点電気泳動とSDS-PAGEの2次元電気泳動で検索したところ、p53の等電点が異なり、phosphatase処理で共通の等電点にもどるためp53の燐酸化に相違があることが示された。p53燐酸化を抗体を用いて、さらに検索を進めている。また、アポトーシスに陥っているBV173細胞においてはBax蛋白ではp21に加えてp19、p21/WAF1/Cip1蛋白ではp21に加えてp14にcleavageを来した蛋白が出現することが示された。 K562細胞にp53下流遺伝子であるBax,Bcl-2発現ベクター,またはコントロールベクターをelectroporationにて一過性に遺伝子導入し、annexin V-FITCで細胞膜の外側に露出したphosphatydilserineを検出する方法でアポトーシスを検索すると、Bax遺伝子を導入したときが最もannexin-V陽性細胞が多い。しかし、electroporation自体が細胞障害性を有するためreverse tetracycline systemを用いたBax発現系をK562細胞に導入しBaxの強発現のみでアポトーシスが誘導されるかどうかをTUNEL法で検索したところ、TUNEL陽性細胞が出現しcaspase 3の活性化も認めた。Jurkat細胞では同様の方法でアポトーシスが誘導されることが証明されているが、Jurkat細胞はBax遺伝子のmutationがあり、野性型Bax遺伝子を有する細胞でも、Bax過剰発現がアポトーシスを誘導することが本研究で証明された。
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