研究課題/領域番号 |
10670948
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
待井 隆志 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50124780)
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研究分担者 |
柴野 賢 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
池田 弘和 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10311755)
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キーワード | ヘアリー細胞白血病 / B細胞 / リンパ増殖性疾患 / ユビキチン / 造血抑制 / Rho / 細胞形態 |
研究概要 |
1)B細胞増加の原因に関する検討:EBウイルス、HTLV-I、HTLV-II、HIV、HHV-6、HHV-8および未知のレトロウイルスについて逆転写酵素活性測定を含め検討したが、いずれも陰性であった。HBLD細胞はSCF、IL-2、IL-4、IL-6、IFNγに対して増殖を示さず、TNFαには軽度反応したが、患者血清におけるTNFα濃度の上昇は見られなかった。また自己抗体は検出されず、T細胞subsetにも異常は見られなかった。 2)ユビキチン(Ub)による造血細胞の増殖抑制機構の解明と、そのHBLD病態への関与:我々はHCL細胞の分泌する造血抑制因子を精製しこれがUbであること、また細胞外Ubが造血コロニー形成や血液細胞株の増殖を抑制することを明らかにしている。本研究では血液細胞株を用い、Ubの存在下にアポトーシスが誘導され、またカスパーゼ3の活性化が見られることを示した。IL-6依存性KT3ではSTAT3が選択的に抑制され、細胞外Ubは細胞内でSTAT3と結合し、STAT3はプロテアーゼ依存性に分解されることを見いだした。さらにHBLD患者末梢血単核球の培養上清におけるUb濃度は正常人末梢血単核球に比し有意に高い値を示し、HBLDの血球減少にもUbの関与が示唆された。 3)Rho蛋白とHCLおよびHBLDにおけるB細胞形態の関連:HCL細胞は特徴的な細胞形態を示し、TPA添加により線維芽細胞様細胞へtransformする。後者もHCL細胞に特徴的であるが、HBLD細胞にも同様な所見を見いだした。Rhoにより活性化されるROCKのインヒビターであるY27632はTPA非存在下にはこれらの細胞形態に影響しなかったが、TPA添加時の形態変化を著明に抑制し、RhoがHCL、HBLD細胞の形態的特徴に関与することが示唆された。
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