研究概要 |
(1) MS-5細胞株との共培養系によるATL細胞株の増殖実験 ATL症例より樹立された各種細胞株を用いた。多くの細胞株においてfeeder layerと接着し,いわゆるcobblestone area(CA)を形成して増殖することが観察された。また,この現象はIL-2依存性細胞株においても認められた。現在,本培養系におけるATL細胞増殖に関わる接着分子間作用を解明する目的で,細胞外基質(ECM)のレヤプターに対する抗体によるブロック実験を実施中である。 (2) 増殖細胞におけるHTLV-Iウイルスゲノム発現解析 上記の細胞株が本培養系において増殖する際に,gagやtax蛋白の発現に変化が認められるか否かを解析した。免疫染色の結果から,一部の細胞株において,増殖細胞における発現の低下や消失を確認した。現在,他のウイルス蛋白およびtax蛋白によって発現や機能に影響を受ける宿主分子等に関する解析を行っている。 (3) ATL細胞のウイルスゲノム非発現増殖におけるJAK/STAT系の解析 本培養系において増殖するATL細胞株では,ウイルスゲノムの発現が低下ないしは消失している事をうけて,ウイルス非発現状態におけるATL細胞の増殖機構におけるシグナル伝達,特にJAK/STAT系の異常を解析中である。
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