私たちは、Vitamin K2(VK2)が様々な白血病細胞にapoptosisを誘導することを報告してきた。 今回、臨床的に難治性であるMDSを対象とし、臨床検体およびcell line MDS-KZを用いVK2のMDS芽球に対するapoptosis誘導効果および機序の検討を行った。 MDS15例の芽球をin viboで培養後、CD34抗体などで分画し、さらにAPO2.7というapoptosisの際にミトコンドリア膜に発現する蛋白を認識する抗体を用いて多重染色し、フローサイトメトリーで測定した。その結果、VK2はMDS芽球に対すapoptosisを選択的に誘導した。 MDS-KZでの検討では、VK2によりapoptosisが誘導されBcl-2の発現低下、Baxの発現増強が認められた。さらに、caspase-3活性が増強しており、特異的阻害剤によりapoptosisは抑制された。これらよりVK2によるapoptosisは、いわゆるcommon pathwayを介していると推察された。 白血病cell lineの細胞周期解析では、VK2によりGl arrestが誘導され、mitosisを阻害するVP16との併用によりapoptosisは増強した。 最近、ミトコンドリアからチトクロームCが放出され、それがcaspaseなどを活性化しapoptosisに至るとされており、ミトコンドリアが注目されている。そこで、VK2によるミトコンドリアの膜電位を検討したところ、経時的低下を認めた。Bcl-2の発現低下、Baxの発現増強とあわせVK2はミトコンドリアに作用することが示咳された。 臨床的には、骨髄線維症を伴なったMDS患者に対し、本人の同意後VK2を経口投与したところ、芽球の減少および血小板減少の改善を認めた。 現在、白血病モデルマウスを用いin vivoでのVK2の効果を検討中である。
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